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「ソロモンは会ったの一瞬だし、知らないと思うけど、アイツはね、魔法は使えないんだよ。だから幻想図書館が何かしらの魔法で、入るのにも何らかの魔法が必要なんだとしたら、魔法が使えない人間は中に入れないで目撃証言のみを獲得することになるよね。アイツも、多分それなんだと思う」
と答えた。
ああ、なるほど。魔法が使えないのか。…だからヒントを落としたのか。そんな風には考えてソロモンは部屋にあった時計に目をやった。
時刻は既に零時を回っている。
いつの間にそれほどに時間が経っていただろうか。
ソロモンがふいにベッドから立ち上がる。それから振り向いてオルメカの方を向く。
「何?どしたの急に」
きょとんとした表情でソロモンを見上げる。
「…もう夜も遅い。続きは朝にしよう」
…え?なに何で急に紳士みたいなこと言ってんの?美男子で紳士だったら最強じゃない???
「…馬鹿なこと考えてないで早く寝ろ」
コツン、と手にしていた珈琲の空ボトルをオルメカの頭に当てる。「いてっ」と実際対して痛くはないが条件反射のように口から零れた。コツンとされたところを擦りながら、
…あれ?やっぱエスパーだったの?などと考えていると、そこにまたもう一撃コツンと珈琲の空ボトルをくらった。
「…じゃあな。また朝に」
そう言ってソロモンは机の上に置いてあったフルーツ牛乳の空瓶も回収し、部屋を出ていった。
「ちゃんと鍵、閉めてから寝るんだぞ」
ひらひらと手を振り出ていった彼の背中を見送りながら、オルメカがボソリと呟いた。
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