都市伝説 幻想図書館④

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都市伝説 幻想図書館④

ゴーン…ゴーン… 鐘が鳴り響く。 鐘塔(しょうとう)からヒストアの街全体に鐘の音が響き渡る。 鐘の音を聞き、鳥たちが一斉にその場を飛び立っていく。 日が傾き始め、辺りはオレンジ色に染まっていく。 時刻は十六時を回ったところだ。 響き渡る鐘の音に街の方を振り向いた。ちょうど傾いた太陽の真反対に位置する場所に立っているからか、ヒストアの街が夕焼けをバックに綺麗なシルエットになって見えた。 思わず写真に収めたくなる美しさだ。カバンの携帯を取り出し、写真にその景色を収めた。 「綺麗だねー。まるで絵画みたい」 しばらくその景色を眺める。シルエットとなったヒストアの後ろに見える空は下から上にオレンジから紫へとグラデーションを描いていた。 「…ああ。…綺麗だな」 写真を収めた携帯をカバンにしまうオルメカの横で、同じように景色を眺めていたソロモンは呟いた。 シルエットの街から伸びる影を見る。その時、ある事に気がついた。 「…確認したい」 「ん?」 不意にそう話しかけられ、オルメカはソロモンを見る。彼の視線は街の方に注がれている。少し前驚いたような表情に見える。 「何?どうかした?」     
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