都市伝説 幻想図書館①

2/7
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/592ページ
なるほど。この大衆酒場には今までにも自分達のような人々が来ていたわけだ。 「ねぇ、おばちゃん。他にも私らのような人が来たことがあるなら、色々と旅の話も聞いたんじゃない?」 こんな風に話しかけてくるくらいだ。武勇伝でも色々聞いているだろう。 「ああ!もちろんさ!冒険譚はたくさん聞いたねぇ。旅行客から旅の思い出を聞くのも楽しいけど…やっぱり旅人の冒険譚ほど熱いものはないねぇ…!」 自慢げに話すおばちゃんは楽しそうだ。聞くのも話すのも好きらしい。 「それじゃあさ、その聞いた話の中にさ「幻想図書館」の話をしてる奴いなかった?」 少女がそうおばちゃんに尋ねた時、隣で無言で飲んで食べていた青年は少女の方を見た。 「幻想図書館?」 酒場のおばちゃんはきょとんとした顔で聞き返してくる。 うーん。この反応…情報は持ってない感じかな? 少女としては期待外れの反応に見えた。が 「あんたたち、幻想図書館に行きたいのかい?」 と…思わぬ反応が次いで返ってきた。 少女と青年は思わず顔を見合わせた。 「貴女は聞いたことがあるんですか?」 それまで黙って聞いていた青年が話しかけた。 ずっと黙っていたからかふいに話しかけられて酒場のおばちゃんは驚いた様だった。だが、驚いたのはそれだけではなかったようで。     
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!