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「…他に聞いた話じゃねぇ、幻想図書館ってのは空を掴むような都市伝説って話さぁ」
「その都市伝説っていうのは、空間移動するっていう話の事では?」
「そうそう!なんだい、あんたらもその話は知ってたのかい?」
「ええ、まぁ。他に何か出現地に関する情報などはありませんでしたか?」
「んー、そうだねぇ。あ、確かここから東にある宮殿跡で出現したと聞いたねぇ」
「東の宮殿跡ですか…」
…おお、随分話進んでますね、おい。
「にしても、あんたたち、幻想図書館になんて何しに行くんだい?」
酒場のおばちゃんは「なんでも、本ばっかりの空間だって聞いたよ」と続けた。
幻想図書館…数年ほど前から世界中を飛び回る都市伝説とされている図書館のこと。なんでも、教会にも知られていない禁書があるとか、死者に逢えるとか、願いが叶うとか、永遠に歳を取らない方法が書かれた手記があるとか、賢者の石やホムンクルスに関する本があるとか…。これまた様々な夢が囁かれる一方で、しかしどれも噂の域を出ないものばかりの都市伝説としても囁かれる話だ。
次いでこの図書館の目撃証言と言うのも存在していて、世界中の何処かに突如現れるとされている。だがしかし、これもまた噂の域を出ないものばかりだった。
「本ばかりの空間?」
少女は聞き返す。
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