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都市伝説としては、もっと夢のある話が含まれているのだが。
「ああ、そうだよ。聞いた話じゃ番人がいるとね。で、行ったところで所蔵されている本は古書なだけで普通の図書館だって言うじゃないか」
「…随分と具体的ですね。それは実際に見た、という方の話であるとか?」
「さぁねぇ?その人ってのがまた奇妙な人でねぇ。額と右眼にこう…手術の痕みたいな縫い目があってねぇ。たれ耳うさぎみたいな形のフードに手元も見えない長い袖の服だったよ。幻想図書館の話を嬉々として話してくれたんだが、最後のオチとしてそんな感じのことを言っていたんだよ」
おばちゃんは「笑い方も奇妙だったよ」と言った。
「あんたたちはどんな場所だと聞いてきたんだい?」
おばちゃんのその言葉に、少女の変なスイッチが入ったのを青年はすぐに気がついた。
「おいー…」
「よくぞ聞いてくれました!」
少女は目をキラキラさせながらおばちゃんの手を握った。
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