7月2週目

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「なんだか、お腹空いたね」 とあかりは言った。 「そうですね」  答えたのは、2年生の女子部員。「すみません、遅くまで私に付き合ってくださったせいで……」 「ああ、それはなし、なし」  あかりは笑って手を振った。 「ただ、まあ――コンビニは避けて通れない、かな?」 「うーん……ですね!」  後輩の元気な笑顔に、あかりは少し安心した。  2人は玄関につくとそこから別れて、あかりは3年生の下駄箱に、後輩は2年生の下駄箱に向かった。それぞれ、別のかたまりになっている。 「――ん?」 とあかりは言った。男バスの3年が何人か帰るところだった。 「あれ、増山」  1人が声をかけてきた。「今、帰るの?」 「うん。――そっちだって、今ごろ?」 「ちょっと休憩してた」 「何それ」  あかりは笑って言った。「だったら早く帰ればいいじゃん」 「それがなかなか難しい」 「お前がいつまでも床にへばりついて離れないから」 「何回もトイレ行ってたのはどこのどいつだよ」  すぐに、誰のせいだ何だと言い合いになる。 「――増山、」 と小崎が言った。 「……夏目は? 一緒じゃないの?」 「今日は私、2年と帰るんで」 とあかりは答えた。「それに……清香も、あとで1人で帰るって。そう言ったから」 「1人で……ね」  あかりはそっと小崎を見た。思案しているのが、表情でわかる。 「ねえ、小崎」 「何?」 「清香ってさ、何か悩んだりしてる時って、1人になりたがるよね」  小崎は瞬きをした。 「よく……知ってるな」 「そりゃ、あんたほどじゃないけど、私だって清香と結構な時間を一緒に過ごしてますからね」 とあかりは言ってやった。 「あいつ、何か悩んでるの?」 「それが……正直よくわかんなくて」  あかりは困った顔をした。 「2年の中でちょっとごたごたはあったんだけど、それはもう解決しそうだし。チームの状態も悪くないし、部活の雰囲気もいい感じにあがってきてる。清香が思い悩んだりするようなこと、ないと思うんだけどなあ」  あかりは小崎を見た。 「でもやっぱり、キャプテンにしかわからない悩みとか、あるのかな?」 「ううん……俺は夏目じゃないからな」  小崎はうなった。「俺とあいつは違うし、もちろん増山と夏目だって違うだろうし」 「それはわかるよ。わかるけど……」
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