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「でも、私はこれより小さい車なんて持っていないんです。」
「!!!??」
「こんな狭い道を、二台並んでも余裕のある車なんてこの世にあったんですね……。道中見かけましたけど、初めて見ました。」
「!!!!!???」
「家の庭にある遊園地のゴーカートにも、あんなに小さい車はありませんよ。ウケ狙いで、今度仕入れてみようかなって途中で思いました。」
「!!!!!!!!!!!!!!????????」
私は、声にならない言葉を発し続ける。
よっ、四葉ちゃん……なんてスケールが大きいんだ!
この車が一番小さいんです……家の庭にある遊園地……道を二台並んで走る余裕のある車なんて初めて見ました……ゴーカートにも、あんな小さい車はありません……それらの信じられない発言が、「セレブ」「貴族王族」などの言葉と一緒に頭の中を駆け巡り、メリーゴーランドのようにぐるぐると回った。
こんな大金持ちなんて、この世に存在したんだ……。
もう失神寸前の私の前に、数人の男の人たちが車から降りてきた。
「四葉様、どうぞお乗りください。」
丁寧に一礼し、スッとドアを開けている……えっ、もしかしてドアマン!?
この多人数が!?
ひるむことなく、
「ありがとう。」
とお礼を言って車にひらりと飛び乗る四葉ちゃん。
一人のドアマンが、用意していたリモコンのような機会をポケットにしまう。
「あの……それ、何ですか?」
思い切って聞いてみた。
ドアマンの代わりに答えたのは四葉ちゃんだ。
「ここのボタンを押すと、車の中から板が出てくるんです。」
「……板?」
「ほら、よくテレビで見ませんか?車に年齢の幼い子供が乗り込むとき、乗りやすいように小さな階段を車の脇にセットしたり、ななめに板を立てかけて坂をつくったり……。」
ああ、あれのことか。
「ボタンを押すとその板が出てくるんですけど、私はあまり使いません。」
「四葉様は優れた身体能力をお持ちで、ご自分でお乗りになられるのですが……万が一の安全の為、スイッチがついた機械は常に持ち歩いています。」
ドアマンが補足する。
さすが超大金持ち……。
そして車内に入り、私は絶句した。
広い!
そして、豪華!
ゆったりしたソファー、ふかふかの床、テーブルはガラス製と陶器の二種類。
おしゃれなデザインの椅子には綺麗で座り心地のよさそうなクッションが置かれ、背もたれに美しい模様が描かれている。
壁際に設置されている木製の家具は、もしかしてクローゼット?
それともたんす?
どちらにしろ、車内にあるにしては奇妙な家具だ。
しかし、そこが逆に金持ちって感じがする。
それにしても、ガラス製のテーブルや大きなたんす(クローゼットかな?)を車において、大丈夫なんだろうか?
高級リムジンだけあって、揺れがほとんどない?
運転に自信がある優秀な素材が専用運転手?
どちらにしろ私からしたら今まで関係すらなかった世界なんだけど、もし地震がおきたらどうするんだろう?
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