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「蓮純さんは、こっちのソファーに座っていてください。椅子がよければ、この二つがあいているので好きな方にどうぞ。」
笑顔で言ってくれる四葉ちゃん。
「あっ、あっ、ありがとう……。」
こんな豪華な車に乗るのは初めて……っていうか、見たことすらないのでめちゃくちゃ緊張する。
ヤバい、舌を噛みそう。
「紅茶とケーキ、マカロン。トリュフチョコも、残ってたらちょうだい。」
信じられないことを言い出す四葉ちゃん。
「食事としては、サブジかダールね。」
さぶじ?
だある?
聞いたことのない料理名だ。
「インドのカレーよ。インドってカレーの種類が多くて、使われてる材料がそのまま名前になってることが多いの。ちなみに、サブジは野菜でダールは豆。」
説明してくれる四葉ちゃん。
……何で小学一年生がそんなこと知ってるの?
私は疑問をいだく。
「ナンやチャパティはご用意いたしますか?」
「ご飯でいいよ。」
「かしこまりました。」
私は、四葉ちゃんにささやく。
「ナンは分かるけど、ちゃぱてぃって何?」
「ナンと同じで、カレーと一緒に食べるパン。」
……だから、何で小学一年生がそんなこと知ってるの?
「七面鳥の丸焼きは、どういたしましょう。」
車内に七面鳥の丸焼きなんかあるの!?
「いいよ、この間食べたから。先週の土曜も確か七面鳥だよね?もう飽きちゃった。」
七面鳥の丸焼きなどという超貴重な食べ物を「あきた」という事ができる四葉ちゃんがうらやましい。
「この間いただいたイギリスのトマトはお食べになりますか?」
イギリスのトマト!
本場じゃない!
「サラダにして出して。」
「かしこまりました。後、最近仕入れたマツタケが数十本残っておりますが……。」
マツタケ数十本!
それって、ものすごーーーーーーーっく高いヤツ!
「いいよ、キノコはきらいだから。」
いいの!?
本当にそれでいいの!?
「かしこまりました。他には何かお食べになりたいものなどございますか?」
「うーん、特にないかな。蓮純さんは?」
私はブルブルと首を横に振る。
驚きと緊張で言葉が出ない。
「分かった、それじゃあ今のメニューでお願いね。」
「かしこまりました。」
そして私は、まだ出発すらしていないのに、世界には次元が違う大金持ちが存在することを知った。
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