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「とっ、とっ、ところで、四葉ちゃん?」
「はい?」
「あの、試験って何をすればいいのかな?」
「面接と実践ですね。」
簡単すぎて答えになってないよ!
「面接では、普通に年齢とか名前とか質問されたことを答えていけばオッケーですよ。でもさっきも言ったように実践があって、如月さんが審査員をやってるのはそっちのほうですね。」
「実践って何をすればいいの?」
「悪夢退治の試験を受けるときの実践と言えば、悪夢退治に決まってるじゃないですか。」
「え!?いきなり悪夢退治!?」
「そうですよ?あ、でも、成功できるか失敗できるかも勿論ポイントにはなりますが、どういう考え方をするかとか、悪夢を退治する作戦も審査の重要な観点になりますから、失敗したから落ち込んだとかいうことは考えなくて大丈夫ですよ。」
「そ、そうなんだ……。」
どうしよう、実践があるなんて聞いてないよ!
私はものすごく不安になってしまった。
「悪夢を退治するのってどうやるの?」
「それを考えるんじゃないですか。」
サラリと流された。
ああ、私本当にどうしよう?
と、そうこうしている間に。
「つきました。」
四葉ちゃんが笑顔を向けてきた。
「も、もう!?」
私も慌てて窓の外を覗こうとして、カーテンがかかっていることに気づく。
あーもー!
私どれだけテンパってるのよ!?
「……何でカーテンがかかってるのに、ついたって分かるの?」
「だって、車が止まりましたから。」
車が止まった?
あまりに緊張していたせいか車の揺れがとてつもなく少なかったせいか(多分前者三割後者七割だ)、私には全く分からなかった。
すると、ドアマンが車のドアを開けてくれる。
「四葉様、到着いたしました。」
「うん、ありがと。」
四葉ちゃんはとっとと車を降りるけど、私は唖然としてしまって動けない。
「どうしましたー、蓮純さん?」
四葉ちゃんが声を掛けてくれる。
「あっ、はひい!」
しまった、はいっていうつもりがはひいになっちゃった!
恥ずかしすぎるよ……。
絶対笑われると思ったら、誰も笑わない。
「到着いたしました。」
ドアマンの人が無表情で繰り返す。
「……はい。」
私は敷き詰められた柔らかな絨毯を恐る恐る踏みながら、車を出た。
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