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しわの刻まれた顔にはおっとりとした優しそうな表情が浮かんでいて、穏やかに余生をすごすお年寄りって印象を受けるけど、何というか、威厳とか迫力のこもった力強い目をしている。
強い決意を持った目。
もう八~九十歳くらいにみえるけど、まだまだ長生きするだろうな。
口元には上品な微笑みが浮かび、品のいい貴婦人みたいな雰囲気と、何千年と生きてきて人間のみにくさ、美しさ、無力さ、粘り強さ……そんないろいろなものをみてきた仙人みたいなオーラをただよわせている。
絶対にただものじゃない。
赤ちゃんがみてもわかる。
そのくらいの力のある目と雰囲気を、彼女は持っている。
「…………どなた?」
老婦人の口がひらき、しっとりとした、優しい声がこぼれた。
「あ、あの、お腹がすいちゃったので、食事をしようと思って。」
「どうして、ここがわかったの?」
ゆっくりとした口調は、本当におばあちゃんなんだって感じる。
「あの、その子……きれいな服を着ているのに、路地に入ったから。どうしたのかなって思って後を追いかけたら、ここを見つけたんです。」
「ここを見つけた、ねぇ……。」
老婦人はおっとりとそう言った。
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