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「それならどうぞ、ごゆっくり。一番いい席があいているから、お座りなさい。ああ、そうそう。私の名前は如月。この<カスミソウ>の店主。たいていの料理なら作れるから、好きな食べ物、何でも遠慮なく言ってごらんなさい。すぐに食べさせてあげるよ。」
「はい、ありがとうございます。あの、メニューは……。」
「メニューはこの店にゃあないよ。ほとんどの料理は作れるから、メニューなんてつくっちゃきりがないのさ。」
「そうなんですか。」
「ほかに質問はないかい、なんでも答えてあげるよ。」
「あの、それじゃあ……。全然関係ないですけど、<きさらぎ>ってどういう漢字なんですか?」
「女へんに口、それに月って書いて<きさらぎ>漢字二文字だよ。」
「きれいな名前ですね。」
「ほっほっほ、そうかい、そうかい。」
如月さんと話しているうちに、私はだんだんゆったりした、温かい気持ちになってきた。
「すみません、ココアとコーンスープをお願いできますか?」
「はいはい、わかったよ。ちょっと待ってておくれ。ほら、お前も自己紹介なさい。」
「はーい!」
如月さんの言葉に元気よく返事をして、少女が席を立った。
「私、四葉。四に葉っぱの葉って書いて、よつばって読むの。よく小学生に間違えられるけど、中学生。」
「え!!!?」
私がおどろいて大声をだすと、四葉ちゃんはペロッと舌をだした。
「ウソです★ホントは小学一年生。」
なんだ、びっくりした。
この子なかなかやるわね。
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