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「私は、ある仕事のスカウトを兼ねててね。どうも、あなたはその仕事に向いていそうな感じがするのさ。誰にでもできることじゃなく、人を選ぶ仕事でね。スカウトやってる私も、ここ数年仕事に向いている人を見つけられずにいたところなのよ。ちょうどここにいる四葉もその仕事をしてるんだけどね、いや、もうやってるなんてものじゃない。ベテランだね。もう大人より上手いよ。と言っても、この仕事に年齢は関係ないけど。」
「え、小学生が仕事していいんですか?」
「まあね、いいって言ったらいいね。やってみる気はあるかい?」
「そりゃ、人を選ぶ仕事に私が向いてるんならやってみたいです。今の職場には苦手な人もいるし……。でも、どんな仕事なんですか?」
「おっと、そうだった。言うと笑われるかもしれないがね、悪夢を退治するのさ。」
「悪夢を退治?」
「そう。この世の中にはたくさんの悪夢がある。それを退治するのが、私たちの仕事。人を選ぶって言ったのは、悪夢の退治にはコツがあるからなのさ。」
なるほど。
「それで、どうする?転職するかい?」
悪夢を退治。
信じられないような話だ。
でも、それだけにわくわくするものがある。
それに私はファンタジー大好きだしね。
万が一イヤな仕事や真っ赤な嘘だったら、また転職すればいい。
うん、決めた。
「私、悪夢、退治します!転職します!」
そう宣言すると、如月さんは目を細めて喜んだ。
「うれしいねぇ。それじゃあ早速試験を受けなきゃね。」
「試験……。」
「そう。たしか一週間後だったね。来週の今日、またここにおいで。試験の会場に連れて行ってあげるから。あと、今日のお代はいらないよ。スカウトを受けてくれたお礼。」
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