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話を巻き戻しその2 会社周辺
会社を出た私は、周りをぶらぶらしながら店を探すことにした。
なのに、たいていの店は閉まっているか、混んでる。
いい店がなかなか見つからない。
はあ~あとため息をつく。
その時、一人の少女が私のわきを走りぬけた。
ふわふわの白いドレスと頭につけた大きな純白のリボンが、闇に目立つ。
ラメが入っているわけでもなさそうなのに、暗い場所で見る白い色だからか、きらきらと輝いているような印象を受ける。
薄いレモン色という言葉がふさわしいような、白に近い色のやわらかそうなたっぷりとした金髪が夜風に揺れ、綿毛のようにふんわりとおどっている。
すその広がったドレスや大きなリボンは春間際のちょうちょを思わせるものがある。
それも「蝶」ではなく、ちょっと幼い言い方の、かわいらしい「ちょうちょ」。
全身白い格好は、まるで天使か白鳥みたい。
その子は、薄暗い路地に走りこんでいった。
あんなきれいな服の子が、せまくて暗い路地?
しかも服や髪色から、なんとなく外国のお嬢様ってイメージを感じたのに。
不思議に思った私は食事をするための店を探していることも忘れ、少女のあとを追うように路地に入った。
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