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「なら俺も」
彼も身を乗り出した。
「卯月、お前は留守番をしていろ。お前がいなくても大丈夫だ」
「地竜こそ留守番していろ」
今度は彼と地竜さんが口喧嘩をはじめた。
「頼みますから、いちいち下らないことで意地の張り合いをしないで下さい。たいくんとここちゃんに後追いされ、ギャン泣きされるのはこの私なんですよ。ままたんがいないって二人に気付かれる前に帰って来たんです。誰でもいいですから、早くして頂けませんか?」
橘さんの眉間に不機嫌そうな皺がどんどん寄っていった。
二人ともこれ以上橘さんを怒らせちゃだめ。雷が落ちるよ。
「あんまり俺の優璃を怒らせないでくれ。優璃、二人に構わずさっさと行くぞ」
ナイスなタイミングで柚原さんが助け船を出してくれた。
「たいくんもここちゃんも機嫌良くハルちゃんや紗智たちに遊んでもらっている。迎えに行くなら今だぞ」
「分かりました」
「おぃ待て‼」
玄関に向かった橘さんを彼と地竜さんが慌てて追いかけた。
「たく騒々しい連中だ。一太の方が大人だな」
お祖父ちゃんが呆れていた。
「どっちが子どもか分からないな」
お義父さんも苦虫を潰したような顔を浮かべていた。
「ウーは行かないのか?」
「フーはもう行ったぞ」
入れ違いに総一郎さんと度会さんが入ってきた。
「マー、マモル。シゴト」
「お、そうだったな」
「マーは好きか?って中国語で何て言うんだ?通訳が必要だな」
「マー、スキ」
チラチラと弓削さんの顔色を伺いながらもウーさんが小声でそう答えた。
「お前には斉木がいるだろうが。それになぁ、俺の方がお前より姐さんと長く一緒にいるんだ。新参もののお前なんかに負けないくらい・・・・・」
「弓削、ウー、そのくらいにしておけ」
度会さんがジロリと二人を睨み付けた。
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