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その時突然雷鳴が頭上で轟いてバチと一瞬だけ停電した。
その直後篠つく雨と稲妻が閃いた。
「雷なんて聞いてねぇぞ。未知といちゃつこうと思ったのに」
ぼやきながらも、こぞこぞと動く一太をなんとか宥めながら寝かし付けてくれた。
一方の遥香も雷鳴にビックリしてグズリ出して地竜さんがまた添い寝して寝かし付けてくれた。
こんな状況なのにもかかわらず、太惺や心望は熟睡していて、まったく起きる気配はなかった。
「未知、悪いが手を繋いでくれるか?雷、ちょっとだけ苦手なんだ」
地竜さんが恥ずかしそうに手を差し出した。
「ちょっとじゃねぇだろう」
「そういう卯月だって人のこと言えない癖に」
「二人とも喧嘩は駄目だって」
よいしょっと掛け声を掛けながら、ゆっくりと布団の端に腰を下ろすと、彼が不貞腐れながら真っ先に寄ってきて手を繋いでくれた。
「地竜には焼きもちを妬かないって決めたんだ。二言はない」
彼を決して疑う訳じゃないけど、顔色を伺いながら、びくびくしながら、地竜さんの手の上に自分の左手をそっと静かに重ねた。
『インターポールに派遣されていたころ、まこと密やかに噂されていた。リーのパンドラの箱、通称黒い箱。地竜、教えてくれ』
襖の向こう側から鞠家さんの落ち着いた低い声が聞こえてきた。
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