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「久し振りに楽しい時間を過ごせた。急に押し掛けて悪かったな。一太じゃあな、お兄ちゃんの言うことをよく聞いて、お利口さんにするんだぞ」
食後は、一太の遊び相手をしてくれて。その太い指先から予想もつかないほど器用に生み出されていく折り紙の動物たちに一太は興味津々。目を丸くして歓声を上げていた。
すっかり彼と仲良くなり、片時も側から離れようとはしなくて。彼が帰ると言い出した途端、頬っぺたをこれでもかと膨らませた。
「一太、お兄ちゃんの携帯におじちゃんの連絡先を入れておくから、いつでも電話を寄越していいぞ。未知、わりぃな、携帯貸してくれ」
言われたままに手渡すと、片手でささっと操作しすぐ返してくれた。
「俺のと、橘の、あと、仕事用の番号を登録しておいた。いつでも連絡してくれ」
卯月さんは最後に一太を抱っこしてくれて、高い高いをしてくれた。
「兄弟二人きりで色々大変だろう。もし相談があれば聞くぞ。助けてもらった礼は後日、改めて」
お礼なんていいのに。
それに勘違いしているし。どうしよう、ちゃんと説明しないと。でも、両性と知ったらきっと好奇の目でジロジロ見られるんだろうな。変な勘繰りされるんだろうな。
本当、どうしたらいいんだろう。
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