彼が、好き

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「橘さん、すみませんね」 「いいえお気になさらずに」 橘さん護衛のもと、再びカフェで働かせて貰えるようになった。一太も張り切ってお手伝いしてくれる。ただいるのも申し訳ないと橘さんも率先して接客の手伝いをしてくれた。テキパキと手際よく動く彼に茨木さんも舌を巻いていた。 「私も未知さんと同じ母子家庭で育ったんですよ。昼間はフェミレスで働いて、夜は居酒屋で働いて家族を養っていたんです。そんな時、卯月に出会って・・・お陰で弁護士になる夢を叶える事ができました。あれ!?言ってませんでしたか?」 橘さんが弁護士って・・・そんな・・・てっきり卯月さんの秘書だと思っていたから。吃驚し過ぎて、ぽかんと口を開けしばし固まってしまった。 「卯月専属の弁護士ですよ、彼と、彼の会社、そして組を守るのが私の役目ですから。後悔はしていません。それはそうと、未知さん」 名前を呼ばれ反射的に顔を上げると、穏やかな笑みを浮かべる彼と目が合った。 「ーー貴方、卯月に恋、してますよね?」 最初、何を言われたか分からなくて。また、ぽかんとしていると、今度は失笑された。 「顔をみれば分かります。分かりやすいんですよ、未知さんは。すぐ顔に出るタイプですからね」
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