告白~虐待の連鎖を止めるための決意~

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「未知‼未知‼」 恥ずかしくなるくらい名前を連呼して。彼が大慌てで駆け付けてくれた。 「未知大丈夫か?怪我は?どこか痛いところはないか?」 体のあちこちをくまなく見られて。ますます恥ずかしくなった。大丈夫って、何回も頷いているのに。心配性なんだから。 「未知の身に何かあったら、そう思うと気が気じゃなかったんだ。良かった無事で。一太は橘がみてくれてる。元気だから安心しろ」 一番気掛かりだったことを教えてもらい、緊張の糸が一気に解れた。良かった。無事で・・・ 彼の広い胸に抱きしめてもらい、涙が出るくらい嬉しかった。 やっと会えたんだ、大好きな彼に。ようやく実感が沸いてきた。 「卯月さん、よく我慢出来たな」 「若いのに今の今まで制止されていたんだ。押さえるの大変だったんだぞ。播本さんを信じろって何度言っても耳さえ貸さねぇし」 彼のあとに続いて姿を現したのは拝島さんだった。動物園で一度会ったきり。確か、手島組の・・・ 「颯人、迎えに来てやったぞ。手間掛けやがって。尊さんよ、あんたにはサツが迎えに来てる。ちゃんと事情説明するんだな」 拝島さんの部下の男性が数人駆け付けてきて、二人の体を起こし、手錠を嵌めたまま、両脇を抱え連れ出した。 擦れ違い様、彼が拳を振り上げた。 「待てや」 殴りかかろうとした彼を茨木さんが止めた。 「煮るなり焼くなり好きにしろっとさっき言ったが撤回する。卯月さんよ、その手は未知や一太を抱き締めて、守るための手だ。こんなしょうもない二人のために汚す必要はない」 「茨木さん・・・すみません」 彼が拳を下ろした。 「殺されることはない、大丈夫だ」 連行される二人を不安そうに見送る僕に、心配した茨木さんが声を掛けてくれた。 「未知、茨木さんがそう言ってるだから大丈夫だ。尊さんも、事情を聞かれたらすぐに釈放されるだろう」 彼にも励ましてもらって。 少しだけ元気が出たかも。 「立てるか?うちに帰ろう」 肩を支えてもらって立ち上がろうとした時だった。なかなか足に力が入らなくて、一瞬だけ目の前の景色が大きく揺れ、それから真っ暗になった。
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