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おそらくは、柄にもなく舞い上がった自分が悪いのだ。
平日の真っ昼間。
バイト先のバーから二駅ほど先の自宅アパートに戻る道すがら、朝比奈連は百円ショップで包丁を一つ買った。
自分でも、何のために買ったかはわからない。
どうでもいいスナック菓子の間に突っ込んだ出刃包丁で自害するか、それとも自分を振った瀬戸颯太を刺して犯罪者になるか。
もしくは、殺風景な部屋のオブジェになるか。少なくとも、料理のためには使わない。
入居してからお湯を沸かす以外は使われていない台所に、包丁の居場所はなかった。
バイトがある日は賄いをもらっているし、昼は学食がある。腹が空いても、とりあえずインスタントラーメンを突っ込んでおけば眠れるほど、食にこだわりはない。
「いままで通りってことは、明日からも、颯太と顔をつきあわせて食わなきゃいけないのか。憂鬱すぎる」
秋晴れの空を見上げ、連は足を止めた。
右手に提げたビニール袋が、たいした物も入っていないのに、やけに重く感じられた。
颯太は、大学に入ってからできた友人だ。
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