巡るたび

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 ご両親の許可を得て、あなたの家にいることを認めてもらったわ。  ひそやかに、あなたの成長を見守れた。それはとても幸福な時間。  でも、東京の大学に行くと決めたあなたの意志は硬かった。  たくさんの切り崩すものの中に、わたしが入っていることは分かっていたわ。  わたしは、とても悲しかったけれども、それをあえて喜びで包むことにした。  あなたの幸せ。わたしは泣いても笑って離れるわ。  もう二度と会うことはないわよね。  さようなら。さようなら。
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