巡るたび

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 青空が広がる。細い煙が立ち上る。  この光景も、後悔はしていない。  わたしが『葬式代』となって、あなたが晴れた空へと向かったこの日のことを。  これが最後。  これが、あなたへの最後のわたしの使い道。  彼の誕生祝い『30011円』という存在が、ようやく終わる時が来た。  一万円札の時もあった。一円玉でしかない時もあった。  でも、どんな姿でも、わたしがあなたの所にいられたことは、とても幸せなことだった。  あなたがいないこの想いは、きっとすぐに消えてしまうけれども。  ああ、満足よ。幸福だったわ、ありがとうありがとう。
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