街角は恋をする

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 それに気をよくしてゆっくりと顔を近づければ、頬を染めながら目を伏せる。 「……んっ」  食むようにやんわりと唇を味わう。厚みのある唇はマシュマロのように柔らかく、不思議と甘さを感じた。それと共に食らい尽くしたい衝動に駆られる。けれどその感情はなんとか押しとどめて唇を離した。  けれどうっとりとした目でこちらを見上げる表情に、胸を鷲掴まれるような思いがする。 「いまは飯よりあんたが食べたいな」 「……昨日の続き、してくれますか?」 「もちろん。今日は最後までしてやるよ。ベッドに行くか?」 「はい」  従順な瞳が期待を孕んで艶めく。その目にいますぐこの場所で目の前の身体を暴いてやりたい気持ちになるが、乱暴にしたいわけではない。もう一度優しく口づけてから廊下の先へと足を進めた。  リビングと続き間になっている寝室に足を踏み入れると、竜也は待ちきれないと言わんばかりに抱きついてくる。 「そんなに続きがしたいのか」 「はしたなくて、すみません。でも九竜さんに触れられるの好きです。こんなにドキドキするの初めてで」 「可愛いことを言うんだな。うんと甘やかしてやらないといけないな」  両手で頬を撫でるとその先を請うように顔を上げた。けれどじっと視線を絡めたまま見つめ続ければ、ぎゅっと目を瞑り、耳まで真っ赤に染めながら触れるだけの口づけをしてくる。  押し当てられるだけの拙いキス。色気なんてものはないが、それでもたまらなくそそられた。舌を伸ばして唇を割ると、応えるように開かれたそこから赤い舌が覗く。おずおずと差し伸ばされたその舌は、俺のやり方を辿るように絡みついてくる。 「女より男のほうが感じるか?」 「わ、わからないです。これがそういう気持ちなのか、九竜さんだからして欲しいのか」 「後者のほうが俺は嬉しいけどな」 「ぁっ」  恥じらいながら目を伏せるその顔に誘われる。シャツの裾から手を忍ばせれば、インナーを身につけておらず、なめらかな肌に触れた。大胆に手を這わせて胸の尖りまでたどり着くと、それを指先で押しつぶしながらきつくつまみ上げる。 「ぁ、んっ」  それだけで竜也の身体は跳ね上がり、腰を揺らめかせた。
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