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性急な口づけに応えようと必死になっている様がまた可愛らしい。口の中を撫で回すたびに漏れる声がさらに欲を煽った。
べろりと舌をこすれ合わせると、唾液が滴る。それが白い顎に伝い、扇情的な色気を醸し出す。
「キスまで初めてなわけじゃないだろう」
「んっ……こんなのは……初めて、です」
「こんなキスもしたことがないんじゃ、女が満足しないわけだな」
随分と清く正しいお付き合いをしてきたものだ。バードキス止まりだろうか。よく結婚なんてところまで持ち込めたものだな。少々不思議にさえ思う。まあ、しかしこれだけ美しい男ならば、多少思うようにならなくても手に入れておきたいと思うかもしれない。
俺でさえ唇以外も早く食らいつくしたいと思う。しなやかそうな身体に触れて暴いてやりたくなる。
タクシー乗り場まで歩いているあいだも、車に乗り込んでいるあいだも、悶々とそんなことばかりを考えていた。隣で俯く横顔に時折手を伸ばして、髪を梳くたびに濡れた瞳を持ち上げるその表情に興奮を覚えた。
「そんなに見つめられると、恥ずかしいです」
「減るものでもないだろう」
珍しく自分が昂ぶりを感じていることに驚く。いつもなら相手を手のひらの上で転がすくらいが丁度いいのに、いまは相手の手の中で踊らされている。
だがそれも悪くないと思わせるのだから、この男の魅力というものは底が見えない。若い頃のようなガツガツとした感情に、思わず笑えてしまったくらいだ。
しかし初めて訪れた部屋で初めて嗅ぐ香りに包まれ、艶めいた身体を抱きしめる。それだけでもうあとはズブズブと沈み込み、溺れていくような感覚がした。触れるものすべてを腕に抱き込んで、それを離したくないという感情に飲み込まれる。
「あっ、ぁっ」
「随分可愛い声で鳴くんだな」
「や、言わないで、恥ずかしい」
ベッドに押し倒した身体はしなやかで、腰を揺らめかせるその姿がたまらなく欲を誘った。
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