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ヒーラーの魔力
翌朝。
目覚めたオレは顔と歯を磨いて宿屋の食堂へ向かう。
ここが異世界である事にまだ実感はわかない。
しばらくするとナスカ達も起きてくる。
「おはようユーヒ。迷い人はいつもこんなに早く起きるのか?」
「あはは。おはよ。何もする事がなくて昨夜は早く寝たんだ。あんなに早く寝たのなんて子供の時以来だよ」
この世界にはテレビなどの娯楽はない。
娯楽どころか機械的なものが何一つ無かった。
本を読もうにも意味不明な文字が書かれてあって読めない。
諦めて昨夜は二十一時には眠りについた。
朝食を摂って宿を出る。
カインとエレナは回復薬を買い足しに行き、オレとナスカが向かったのは街の東側。
東門から出てすぐの拓けた草原だ。
「こんなとこ来て何をするんだ?」
「魔力の制御だよ。ユーヒは回復魔法だけど魔力の訓練はするべきだと思うんだ。強化自体は私達の魔力だろうがヒーラーの魔力だろうが同じ事だからね」
「なるほど。強化して武器で戦う分には冒険者としてもやれなくはないな」
「そういう事! 難易度の高いクエストは受けられないけど、低難易度のクエストであれば報酬は少ないけど冒険者やれるだろ?」
「奴隷にならずに済むのならそれだけでも助かるわぁ……」
まずは一安心。
収入は少なくても生きていく糧を得る事ができる。
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