化け物

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 役所前広場には冒険者達に丸太を叩き付ける巨大な化け物と、大量のオークの群れが蠢いていた。  役所前で防衛している冒険者達も、10メートル近い高さから振り下ろされる丸太には耐えきれない。  戦いに慣れてないランクの低い奴から順に倒れていってるみたいだ。  何人かは死んでるな…… クソ……  エレナが足元から切り込んで化け物を引き付ける。  足元に視線を向けさせてカインが目を狙って炎の矢を射る。  矢を防ぐ為に顔を腕で覆ったところにナスカが背後からダガーを突き刺し炎を放出した。  よし、注意が逸れた。 「おい! お前ら怪我人引き摺って役所の裏口から運び込め! 運び込んだらこのオーク共の相手を頼む!」 「勇飛が来た!」 「勇飛さん!」 「仲間を助けてくれぇ!!」 「ああ! 死んでなけりゃなんとかなる! 道開けるから全員運べ!」 「「「「「わかった(はい)!!」」」」」  とりあえず役所に群がってるオーク共が邪魔だ。  道開けるのとこいつらの負担減らす為にも削ってやる!  役所側に向かってるオークの後頭部をぶん殴って爆破。  オレに気付いてこっち向いた奴を片っ端からぶん殴る。  蹴りでも爆破して全力でぶっ飛ばす。  道が開いたところを冒険者達が怪我人を連れて運び込む。  あとはあいつら戻ってくるまでオレが数を減らしておけばいい。  オークの数はざっと見ても二百体を超える。  オレなら一人でも狩れるけどナスカの話じゃ並みの冒険者じゃ合同パーティーでも不可能らしい。  そんなら出来るだけ数減らさねーと……  両手足使って全力でぶっ飛ばしてやった。  こんなに全力で戦ったのなんて初めてだな…… 「お前ら! 怪我人は!?」 「三人だ! さっき役所の中に入れた!」  役所の正面でオークと戦ってる冒険者に声を掛けた。  ここには三十人はいるし耐えきれるだろう。  あいつら戻って来るまでにもう五十は減らしたいところだ。  その後も片っ端からぶん殴ってオークの群れを蹂躙した。  オーク相手ならオレの魔法で無双できるからな。 「勇飛さん、代わります!」 「皆んなを頼む!」 「勇飛! ここは任せろ!」 「お前ら、死ぬなよ! あとで奢ってやるからよ!」 「美味い酒を頼む!」  ちょっと数を見誤ったかも……  百体以上倒したはずだけどまだ百体以上残ってる。  でも冒険者の数も五十人は居るしなんとかいけるか。  役所に入る前にナスカ達の様子を見る。  最も危険な足元にいるエレナに注意が向かないようにカインが目を狙って炎の矢を放ってる。  ナスカも軽やかにヒットアンドアウェイで上手くダメージを与えてるみたいだ。  下手に決めようとしなきゃいいけどな……  牽制しとけば時間稼げるしオレが来るまでは待ってほしいな。
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