化け物

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 役所に入るとやっは血の臭いがすげぇ。  街の人達を掻き分けて怪我人のとこに行く。  魔法医もいるだろうけどオレの回復の方が早いからな。 「エルリー、怪我の酷い奴はいるか!? そいつから回復する!」 「おお! 勇飛君か! すまない、頼めるか!?」 「マイナとランスロットが危ないんだ!」  マイナとランスロットって今魔法医が回復してる二人か。  血を吐き出してるし内臓が破裂してそうだ。  オレの回復でもそう簡単に治んねぇな…… 「悪い、オレにその回復魔力貸してくんねーか?」 「構わんが何をするつもりだ!?」 「貸すといってもどうする!?」 「オレの手の甲に魔力を流し込んでくれ。オレの回復魔法に魔力を上乗せしたい」 「「わかった」」  まずはランスロットから。  マイナも回復を中断するとヤバいけどランスロットの方が酷い。  全快しなくても命を繋げるとこまでは回復を終わらせねーと。  周りがうるせーけど集中して回復魔法をかける。  うん、狙い通りオレの回復に魔力のブーストが出来てる。  魔力がもっと欲しいとこだけど他の奴の魔力じゃオレは使えないだろうしな……  五分。  これ以上はマイナが危ない。 「エルリー、マイナに回復魔法をかけてくれるか?」 「ああ、任せてくれ」  ランスロットもだいぶ顔色が良くなってきたけど、まだオレの流し込んだ魔力が変な流れをするからな。  たぶんまだ臓器が再生できてない。  早く回復してくれ…… !  十五分。  ようやくランスロットに流れる魔力がそこそこ安定するようになった。  たぶん内臓のダメージは残ってるけど再生は出来てるはずだ。 「次! マイナの回復をする! あんた名前は?」 「マルロだ。これ程の回復術師を始めて見たぞ」 「オレは戦闘するから魔力の放出量が多いんだ。あと迷い人だからイメージ力も高い。オレの命の恩人はそこのエルリーだけどな!」 「勇飛! 終わったんならこっち早くしろ!」 「悪いな」  マイナの回復を始める。  オレの回復に二人分の魔力を追加するとやっぱ回復は早え。  マイナの方は十分程度でランスロットと同程度まで回復出来たしこれで大丈夫だろう。 「オレは外の魔獣倒して来るからあとは頼んだぞ!」 「勇飛! 怪我したら治してやるからな」 「あはっ。 そん時は頼むよ」 「気を付けてな」  また街の人達の間を抜けて裏口から出る。  背中をパンパン叩かれながら応援の言葉もいっぱいもらった。 「行ってくる」  皆んなに手を振ってオレは外へと飛び出した。
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