月華の竜

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 とりあえずこの化け物が死んでるのか確認しないと。  こんだけデカい魔獣だと死んでてもオレ一人じゃ魔石に還せないみたいだ。  これじゃ死んでるのか確認できない。  心臓か顔あたりを確認すればわかるかもしれない。  体を登って心臓付近に立ったけど鼓動はよくわかんねーな。  顔はどうだろう。  顔の上に登って息を確認する。  息は…… してない気がする。  瞳孔を確認すりゃわかるだろうしオレが火花を散らせば確認できるか。  上瞼を左手で持ち上げて右手で火花を散らす。  ……  ん? 瞳孔が動いた? 「うおっ!!?」  左の拳を受けて吹っ飛ばされた。  くっそ…… まだ生きてやがった……  けど相当ダメージはあるだろ、血が大量に流れ落ちてるし回復もしてねぇ。 「おい!! 誰でもいいから屋根の上のカインとエレナを連れて逃げてくれ!! そのまま街の皆んなを連れて避難も頼む!」 「で、でも勇飛さんは!?」 「こいつはオレがやる!! お前らはカイン達が死なねーように頼む!!」 「でも四人掛かりで倒せなかったんですよ!?」 「ターナー!!」 「はいっ!!」 「そいつら頼む。死なせたくねーんだ……」 「…… はい」  悪いなターナー。  お前にも死んでほしくねーよ。  これ以上この街の誰にも死んでほしくなんかねーんだわ……
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