負けたくねー

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 デンゼルの街へと着くと、破壊された家々が軒を連ね、道を埋めるかのようにオークの死体が転がっている。  そしてその中に点々と倒れ伏す冒険者の亡骸。  誰もが自分達の顔見知りで、命無き彼らを見る度に涙がこみ上げてくる。  そして大通りへと出ると、視界に入るのは真っ赤な血溜まり。  そして地面に倒れる巨大な化け物の姿。  勇飛は……  オークの死骸が積み上がるその奥。  家屋の壁に寄りかかるようにして倒れている冒険者達の正面に膝をつき、範囲の回復魔法を展開する勇飛がいた。 「勇飛さん!!」  サーシャが叫ぶが勇飛に反応はない。  全員で駆け寄り、勇飛の状態を確認する。  右腕は酷く焼け爛れ、左手は砕けて骨が肉を突き破り、口からは血を流しながらも目を虚ろに開いている。  全身傷だらけで乱れた装備の中に見える体にも赤黒い痣が見える。  発動している範囲の回復魔法は自分に向けられたものではない。  壁に寄り掛かかるヘンリー達に向けられていた。 「勇…… 飛…… さん? も、もしかして…… 意識が……」 「気を失ってなおも彼らの回復をしていたのか……」 「エルリー医師。彼らの容態は?」  三人を診ていたエルリーは無念そうに首を横に振る。  そのままでは可哀想だと冒険者達に頼んで彼らの亡骸を役所内に運んでもらう。  彼らの亡骸を移動すると同時に、事切れたかのように勇飛は地面へと倒れ込んだ。
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