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ただの板のような物を渡され、魔力を流し込む。
文字が現れてサーシャに見せる。
昨日習ったような気がするけどまだメモ用紙を見ないとわからないや。
測定値を見てわなわなと肩を震わすサーシャ。
「レ、レベル2で魔力量が17,000ガルドです……」
声も震えて驚愕の表情を浮かべている。
「それで足りますか?」
魔力量の基準がわからないんだよね。
「は、はい。充分過ぎるほどです。冒険者のレベル10の平均値が15,000前後ですので、異常と言える数値です」
顔を引攣らせて答えるサーシャ。
「ヒーラーの魔力でも平気ですか?」
「…… え? ヒーラーなんですか?」
訝しげな表情に変わるサーシャ。
表情の豊かな人だなと思う。
「ヒーラーだとダメなんですか?」
「ヒーラーでしたらあまりお勧めはしませんね。戦闘に使える魔法がありませんので……」
苦笑いで言われてしまった。
それならばと掌から魔力を放出して見せる。
「オレの魔法を見ますか? 大きな音もしますけど」
「まぁ…… どうぞ」
放出した魔力を爆破する。
室内で耳を劈くような爆発音。
サーシャは悲鳴をあげて、耳を抑えてしゃがみ込む。
オレの耳もキーンと鳴っている。
「ななな、何ですか今のは!?」
驚愕の表情で叫ぶ。
「爆破魔法とでも言うんですかね? たぶん部屋の壁に穴を開けるくらいならできますよ」
部屋の壁と言っても石の壁だ。
訓練中に試した威力から考えてそれくらいの破壊力はあるだろう。
「確かにヒーラー特有の魔力のようですが、爆発するなんて初めて見ました」
なんだか力の抜けた感じのサーシャ。
「これならモンスターも狩れますかね?」
「威力だけなら余裕だと思います……」
サーシャに手を差し伸べて引っ張り起こす。
「じゃあ登録お願いします」
冒険者登録を済ませる。
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