異世界へ

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 逃げること数分。  息も絶え絶えに走り続けたのに追いつかれてしまった。  グサリ……  肩に激痛が走り、痛みと衝撃で転倒してしまう。  右肩を見ると槍が後ろから突き刺さり、刃先が50センチほど突き出ている。  痛い。今まで味わった事のない程の激痛がはしる。オレは槍を抜くこともできずに身悶える。  歩み寄るリザードマン。  リザードマンはオレに刺さった槍を掴んで肩に足を乗せて強引に引き抜いた。  絶叫が草原に響き渡る。  これまで感じたことのないほどの痛み。血が溢れ、燃える様な痛みにのたうちまわる。  槍を振りかぶったリザードマン。  助けてくれ……  見知らぬ場所でわけもわからないままモンスターに襲われて殺される。  あまりにも理不尽じゃないか。  リザードマンの槍を見つめ、振り下ろされる槍に目を瞑る。  ……  ……  ……  あ…… れ? 何も起こらない。  恐る恐る目を開いてみると、どこから飛んで来たのか仰け反るリザードマンの胸に突き刺さる一本の矢。  そのまま仰向けに倒れていく。 「ねぇ大丈夫?」  女性の声が聞こえるが意識が遠退く。  血液を失いすぎたようだ。  その場で倒れ込み、意識を失った。
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