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また見知らぬ場所で目を覚ます。
室内。
そしてオレが横たわるのはベッドのようだ。
まだ頭がボーッとするが、気絶する前の事を思い返してみる。
「誰かに助けられたのか……」
呟くと部屋の中でギシリという音がする。
「目が覚めたようだね。身体を起こせるかい?」
優しそうな男性の声。
オレの顔を覗き込んでくる。
白髪をオールバックにした四十代後半と思われる男性。日本人には見えないな。
「はい…… 大丈夫です」
起き上がったところで気づいたが右肩の痛みがない。
制服の上着は脱がされているが、シャツの肩口には何かが貫いたような穴と、赤黒く汚れがついている。
「傷は回復してあるから大丈夫だろう。聞いた話だと武器も持たずに草原にいたそうだね。今後はフラフラと街の外に出てはいけないよ?」
眉間に皺を寄せるようにして注意される。
「あの…… ありがとうございます。オレは勇飛といいます。鈴谷勇飛です」
「ふむ。私は魔法医のエルリーだ。君は変わった服装をしているね。どこから来たんだい?」
このエルリーという男。魔法医? 疑問はあるが少し話して から考えようと思う。
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