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「オレ、自転車に乗って学校に向かう途中だったんですけど、気がついたら草原に寝てたんです。」
自分でもよくわからない状況を簡単に説明する。
「じてんしゃ? がっこう? 初めて聞く言葉だね」
何を言っているのかわからなそうなエルリー。
「あの…… エルリーさんは魔法医って言ってましたけど、魔法が使えるという事ですか?」
直接質問してみる。
「んん? 当たり前じゃないか。魔法で傷を治すのが私の仕事だ」
まじか……
当然のように魔法が使えると言われてしまった。って事はここが地球ではない異世界という事か。
「まさか君は魔法の使えないのか?」
素直に頷く。
「もしかしたら君は迷い人なのかもしれないね。この世界の住人ではない、別の世界の人間」
顎に手を当てて考え込むエルリー。
「そ、そうかもしれません…… オレを襲ったモンスターも初めて見ましたし、魔法を使える人間はいませんでした。」
頬を掻きながら苦笑いで言う。
「そうか、気の毒に。私はまだ他にも患者さんを待たせているからね。私ではこの世界で生きていく術を教えてやる事ができない。君を助けてくれた冒険者を待たせてあるから彼等からいろいろと聞いてくれ」
スマンなという表情をしながら部屋から出ていくエルリー。
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