武器と仲間

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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇  過去のパーティー。  ナスカをリーダーとしてカイン、エレナのパーティーに、一人の新人冒険者を仲間に加えた。  名前はユミル。  登録してまだ半年ほどの新米冒険者だったそうだ。  その頃既にシルバーランクの冒険者としてこの辺りで名の通ったナスカのパーティー。  三人だけのパーティーに、仲間に入りたい冒険者も多かったそうだ。  そんなナスカのパーティーに入ったユミルはイエローランク。  それをよく思わない者も少なからずいたらしい。  陰口をたたかれ、直接本人の耳にも入っていたそうだ。  ナスカ達の前では仲間として気にする風でもなく元気に振舞っていた。  強くなろうと努力し、毎日夜遅くまで魔法の訓練をしていたそうだ。  程なくして受けたクエスト。  難易度8のクエストで事件が起こった。  モンスターに囲まれたパーティー。  前衛のナスカとエレナがモンスターの群れをなぎ倒していく。  カインは弓矢を放ち、ナスカやエレナの合間を縫って敵を射る。  しかし押し寄せるモンスターの数に、ナスカやエレナも捌ききれずにいた。  この窮地を脱するべく、一番後ろに立ったユミルは練習していた魔法を発動する。  下級魔法陣を発動し、呪文を唱えて魔力を練る。  覚えたての呪文と魔法陣。  範囲魔法を放つ事だけに集中していた。  合図とともにユミルの範囲風魔法が炸裂する。  およそ三十体もいたモンスターの群れの半数を倒し、そして……  ユミルは背後から槍を突き刺された。  魔法に集中し過ぎたせいで、周囲への警戒を怠った。  その結果としてモンスターの殲滅に成功するが、ユミルは死んだ。  本来彼が参加するべきではないクエストに自分達は連れて行ってしまった。  その結果として彼を殺してしまった。  そこには自分達がシルバーランク冒険者としての驕りがあった。  新米冒険者を連れていても守りきれると。  自分達上位ランクの冒険者には大きな危険が伴う。  ランクアップは喜ぶべき事であると同時に命の危険性を高めてしまう事だ。  自分達はシルバーランク冒険者。  その危険に、戦う事のできないヒーラーを巻き込む事はできない。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
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