異世界へ

6/9
前へ
/350ページ
次へ
「私はエレナ。武器は剣を使ってるわ。ユーヒはこの世界で生きていくとしたら冒険者になるか奴隷になるかだけどどうするのかしら?」  自己紹介しながらとんでもない事を言うエレナ。  ナスカやカインより少し幼く見える。  身長も低めで150センチほどだろうか。  髪色は明るめのハニーブラウンを背中まで伸ばし、毛先が少し内側に曲がっている。きりりとした赤茶色の目。幼さを残しつつも整った顔立ちをしている。  胸当てと手甲、腰にも銀色の防具、脛当ても装備し、近接戦闘を得意とするのであろう事が予想できる。 「ど、奴隷にはなりたくないかな…… それ以外の選択肢はないの?」  顔を引攣らせて言うオレ。 「ユーヒはこの世界の住人じゃないから家もないだろ? 食べていくためには仕事をしなくちゃいけないんだけど、冒険者として稼ぐかどこかの家の奴隷として働くかしかないってわけだ」  ナスカが淡々と説明する。 「普通に働かせてくれないのか?」  奴隷になる必要はないだろうという当然の疑問。 「家がないって事は信用できないだろ? もし店の手伝いでもしててお金を持ち逃げされたらたまったもんじゃないからね。奴隷ならある程度の縛りがあるから逃げられないんだ」  縛りが何かはわからないが逃げられないように奴隷とするらしい。 「冒険者は何をするんだ?」  予想はつくがとりあえず聞いてみる。 「役所から出ているクエストを達成するのが仕事だ。配達や護衛、モンスターの討伐とか条件をクリアすれば報酬がもらえるんだ」  ふふんと言うナスカ。 「私達はそこそこ名の通った冒険者なのよ?」  さらにふふんと言うエレナ。 「じゃあ冒険者になろうかな。奴隷よりなら絶対にいいだろ」  考えるまでもなく冒険者を選択する。
/350ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1231人が本棚に入れています
本棚に追加