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「ユーヒは少しわかってないな。冒険者は常に死のリスクが付きまとう。強くなければ生きていけないし食ってもいけない。奴隷なら死ぬことはないし食事ももらえるからな」
奴隷という選択肢は納得のいくものだった。冒険者は強くなければ死ぬしかない。
「まぁユーヒは迷い人なんだろう? という事は目覚めれば魔力も高いはずだ」
カインが人差し指を立てて言う。
「そうね! 迷い人の魔力も気になるから覚醒させましょうよ!」
エレナも乗り気だ。
「どうやって魔力を目覚めさせればいいんだ?」
魔法など知らないので聞いてみる。
「私が魔力を与えるからそれを全身に広げるだけだ」
言って立ち上がるナスカ。
オレの座る椅子の前に立ち、額に指を当てて魔力を送ってくる。
「目を閉じて。光があるのわかる?」
「うん。光ってる」
「じゃあ意識してその光の大きさを変えてみて」
意識を集中して光を大きくしようとしてみる。
全く大きくなる気配がない。小さくしようとしても変わらない。
集中する事十分。
「まだできないの?」
「うーん。全く大きさ変わらない」
「そんなはずはないんだけどね…… あれ?」
カインがオレの全身を見回す。
訝しげな表情で首を傾げる。
「ユーヒ。光の大きさは変わらないんだよね?」
「ああ。ピクリともしない」
「でも魔力はあるみたいだね」
「え?」
目を見開いて驚く。
苦笑いしながら汗を流すカイン。
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