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「ねぇ、どういう事よカイン」
エレナが問いかける。オレも聞きたい。
「魔法医に回復してもらったでしょ?」
それだけ言うカイン。
「「あ!」」
気が付いた様子のナスカとエレナ。
「え? なになに? どういう事?」
嫌な予感がしつつも苦笑いする三人に問いかけてみる。
「魔法医に治してもらった時に魔力に目覚めてる……」
言って目を逸らすナスカ。
「もうどうしようもないわね……」
エレナも目を逸らす。
「冒険者は諦めた方がいいね……」
カインも申し訳なさそうに言う。
「なんで冒険者が無理なんだ?」
魔力が目覚めたという事は魔法が使えるのではないのか?
「魔力を目覚めさせたのが魔法医であれば、魔力の質も魔法医と同じ回復用の魔力なんだ」
カインも目を逸らした。
「つまり?」
嫌な予感がして額から汗が出てきた。
「戦闘用の魔法が使えない」
ピシャリと言うナスカはこっちを向かない。
戦闘に魔力を使えないのであれば冒険者として諦めないといけないようだ。
魔法なしでの戦闘をした場合、高確率で死んでしまうと言う。
「魔法医になるには資格や財力が必要だからね。ヒーラーとしてどこかのパーティーに入れてもらうのなら冒険者もできるけど……」
目を合わせないように言うカイン。
「冒険者にヒーラーはいないのか?」
当然の疑問だ。
ゲームなどではヒーラーは重要な職業で、仲間の回復や聖属性魔法など充分な能力を兼ね備えている。
「無理なクエストは役所も許可しないからな。ほとんどのパーティーはヒーラーに分け前払うのがバカらしいと言うだろう」
ナスカが目を合わせないまま言う。
「なるほどな。確かに怪我しないのにヒーラーいても意味ないか」
顎に手を当てて考え込む。
「私達もユーヒを助けた以上は協力してあげたいとは思うけど……」
異世界から来たオレに興味はあるが、ヒーラーをパーティーに入れるのはどうかという事なのだろう。
「あのさ、別にパーティーに入れてくれとは頼まない。助けてくれただけでも感謝してる。お礼に何も返せなくて申し訳ないけどさ」
頬を掻きながら苦笑いで言う。
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