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化け物
デンゼルへ帰って来た翌日、役所にて。
「で、ファジーさん。オレ達を呼び戻してまでの依頼ってなんなんだ? サーシャからは場所がわからないから緊急性はないって聞いてるが」
役所所長のファジーは王国の役所を通してオレ達に指名依頼を出してきた。
ここデンゼルにはパープルランクやブルーランクといった強い冒険者達もいるんだけどな。
シルバーランクのオレ達を呼び戻すとなるとかなりの強敵が予想される。
「わざわざ戻って来てもらってすまないね。君達は冒険者のオルンを知っているだろう? 彼のパーティーから先週南部の山中で巨大な魔獣を目撃したとの情報を得てね。ここデンゼルに危機が迫っている可能性があると判断して君達を呼んだんだ」
オルンのとこはグリーンランクのパーティーだ。
オレが以前あの山のオークを殲滅してからは定期的に討伐依頼が出されてるからな。
たぶんオーク狩りのクエストだろう。
しかしちょっとくらいデカい魔獣がいたところでアイツら負けねーだろ。
それなのに報告だけしてきたとなれば相当危険な魔獣か、見た事もない魔獣か……
「その魔獣の特徴は?」
「オークに似た人型の化け物との事だ。オルン達の話だとその化け物はオークだけでなく他の魔獣も捕まえて食っていたらしい。身長はおよそ7、8メートルで筋肉質。難易度なら10に達するかもしれないと言うが実際はわからない」
オークの亜種か?
身長7、8メートルっつったら……
え? めちゃくちゃデカくね?
それに難易度10かもしれないのか……
「もし難易度10クラスの魔獣だとしたらゴールドランク冒険者じゃないと戦えないんじゃないのか?」
「確認も取れていない状況でゴールドランク冒険者を呼ぶ事は出来ないからね。彼等の強さは本物だがとても慎重な者が多いし、情報が曖昧だと断られる可能性もあるんだ」
「強敵相手に生き残ってる連中だからな。慎重なのは当然か。で? オレ達への依頼はなんだ?」
「…… その化け物を討伐して欲しい」
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