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「うん……あれだと思うけど…」
どこまで続いているのか分からないコンクリートの壁がそびえ立つ。周りにはベンツやBMW、ベントレー、ポルシェ……名だたる高級車がずらりと列をなして、一台、また一台と敷地内に吸い込まれていった。
そんな中を私たちは徒歩で向かう。
『なんか凄くない?ここ日本だよね?』
「うちら徒歩ってやばいね。てか本当に入れるの?あれみてよ」
サナが指差した先には、屈強な肉体を持っているのがスーツ越しでも分かる、外国人男性数名が門番のように立っている。
日本語を流暢に操り、強引に入店しようとしていたグループをいとも簡単に裏へ追いやっていた。
……私たち、大丈夫…?
少し離れた場所で苦笑いを浮かべる私たちに気がついたのか、そのうちの一人が近づいてくる。手に持っていたカードを一瞥すると、今度は私の全身を舐めるように見て、納得するように小さく頷いた。
「……ようこそ、さぁ皆さんがお待ちです」
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