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@ 隆二
疲れ果てて意識を無くすように瞳を閉じた彼女の寝顔を眺めながら、昨夜の自分を思い出す。
電話にも出なきゃ、LINEの返信もない、
久砂と一緒にいるんじゃないか。
気が気じゃなくて、一睡も出来なかった。
だから俺は、久しぶりに触れた彼女に対する昂ぶりに自分自身を止めることができず、欲望のままに抱いた。
"お前しか抱いてない"
"好きな女以外は抱かない"
俺が他の女ともセックスしてるんじゃないかと気にしていた彼女へのメッセージ。
"……好きだよ"
寝息を立てる茉莉花の目の前で唇をそう動かし、そのままゆっくりと重ねた。
、
『…………ん、』
気怠そうに瞳を半分開け、俺の顔を確認してからまた静かに目を閉じた茉莉花。
『………隆二さんが…いる……夢?』
………寝ぼけてんのか?
「……茉莉花」
『…ん、…なんで、……いるの?』
何言ってんだよ、ったく。
このまま寝かせてやりたい気持ちと起こしたい気持ちが葛藤し、俺は最善の方法で起こすことに決めた。
唇を覆う長い長いキス。
息が止まるほどの。
そう、言葉通り、息が止まるほどの。
『…………っ!!ん~~~~~っ!!』
苦しそうに背中を叩いてきたから、ほんの少し唇を離してやると、力無さげに深呼吸した。
………あー…結構しんどそうだな。
「……大丈夫か?」
額にかかった髪の毛を指ですくい取りながら聞けば、彼女は吐息で答える。
『………隆二さん』
「……ん?」
『もっと優しく起こしてほしい』
「……どうやって?」
『………こうやって…』
目を閉じながら俺の顔を引き寄せ、少し顎を上げて茉莉花はキスをせがんた。
彼女の聴覚にも訴えるように、わざとリップ音をさせながら何度も何度も唇の感触を確かめる。
「………どぉ?」
『……起きました。……ごめんね、寝ちゃった』
恥ずかしそうに視線を逸らす姿がまた俺を誘惑して。
「……また寝ろ」
『……もぉ…。だめ、起きる』
そんな事を言っときながら、茉莉花は俺の胸元に顔を埋めて一向に起きる気配がない。
すり寄ってくる彼女を愛しいと感じながら、髪の毛にキスを落とした。
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