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このまま隆二さんに包まれて朝を迎えたいと思ったけど、季節柄空は直ぐに白みがかってきてしまうから、この暗闇をまだ二人で楽しみたいと思った。
『私……どれくらい寝てました?』
「…10分位だけど……そんな良かった?」
髪に唇をつけたまま、恥ずかしげもなくサラリと聞いてくるあたり"さすがホスト"。
それには答えず、いつもからかわれるばかりじゃシャクにさわるから私も聞いてみる。
見上げながら、
『…止まんない位良かった?』
と。
一瞬真顔になった隆二さんはすぐに頬を緩め、「最高にエロかった」と口角を上げた。
『…なっ、何言ってるのっ?!』
もぉ…ほんとに…。
顔を見ていたら少し話したくなって、隆二さんの腕をスルリと抜け出し、枕に覆い被さるようにうつ伏せに態勢を変えた。
隆二さんは頬杖つきながら横になって、空いた手で私の頬をなでる。
向けられた優しい笑顔に鼓動が早まった。
求め合う度に際限なく惹かれて。
後戻りできないほど……好き。
改めてそう思わせる笑顔だったの。
『…なんか、こうやって話すの久しぶりですね』
「……10日ぶり…か?」
……たった10日なのにこんなに寂しくなるなんて。
最初の三日間は電話もなかったことを急に思い出したから、きっと顔に出たんだと思う。
「……なに?」
不機嫌そうな私を見てバツの悪そうな顔を浮かべる隆二さんがなんだか可愛くて。
いいよ、もう。
だって、こうして彼は目の前にいるんだから。何をしていたのか気にはなるけど、
"お前しか抱いてない"
その言葉、信じてあげる。
……信じたい。
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