甘やかす男たち

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悩む……悩みどころだわ… フライヤーが思った以上にお客様から好評だったクルーズパーティー。 招待客っていっても、もちろん一般には払えないような代金を請求するのだけど、そんなものは朝飯前という方々が今回は乗船する。 2泊3日の船旅。 日夜問わずTHE CLUBのホストたちと過ごせるとあって毎年人気のイベントらしいんだけど、三人に着せる服や身に付けさせるアクセサリーをどなたが用意したものにするのか、悩みに悩みまくっている。 だって、 "私のカクテルドレスとデザインを合わせたから必ずこれを着せて" "プールサイドはこれで歩かせて!" とか言って、店には三人への贈り物が後を絶たないの。 それプラス、私は招待客のリストを頭に叩き込まないといけない。三人が全員を覚えているようにみせるために。 なんだかんだ三人とも自分で覚えてるけどさ…。 久砂さんは髪型とかネイルとか口紅の色とかすぐに気がついて女性たちを褒める。 まさに、ホストの鏡。 宗正くんは気がつかなさがお客様から"かわいい”と評判。 まぁ狙って気づかないフリしてるだけだけど… 隆二さんは至ってクール。変化した部分に手を添えて"いいんじゃない?"って言うくらい。 でもそれが心を捕らえて離さないんだよね。 ………私の心も。 、 休日の夜、夜中まで開いてるカフェの片隅で私は手帳とタブレットとスマホをテーブルに広げ、もう何時間も悩み続けている。 でも、ハッキリ言って贅沢な悩み。 だって、楽しみでしかないっ! 三人がプライベートルームとして使用するのはお客様の立ち入りを禁止するエグゼクティブスイートだし、私の部屋もそこに用意してくれるって。 "裏方なのに申し訳ない"って断ったのに、三人に「……はぁっ?!」って一蹴されて。 逆に、オープンデッキとかをウロウロされるほうが目立つからって最もらしい理由をつけて部屋を用意してくれた。 それならば、 プライベートジャグジーで満天の星空を眺めながら一杯やらせて頂きましょう。 はぁ~…うっとり… 「茉莉花、お待たせ」 にやけた顔を必至に隠そうとしていたら、本日の待ち人がやってきた。 夜なのにサングラスをかけて。
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