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@ 久砂
『………え、、それってどういう…』
まったく、なんでそんなに挙動不審になるんだよ。
「別に普通の質問だけど?なんだかんだ、すげぇ甘やかしそうだもんなぁ隆二は」
……それに相当、本気。
『え、あ、まぁ…そうですね』
テーブルの上に置かれたフライヤーを手に取り眺める。
やられたよ。
まさか黙って帰ってくるなんてな。しかも普段乗らないエコノミーとかで。きっと足がつかないようにワザとそうやって手配したんだろうけど。
この写真もな……"そういう関係"じゃないと撮れないアングルだし。
まぁアレだ。
気付いたってことだよな、俺からの挑戦状。
メンズものを扱うセレクトショップやドレス専門店、女性に人気のブランドのプレスに連絡して商品とスタッフを手配してもらうよう茉莉花に指示した後、追加の招待客リストを送るためスマホを操作した。
「今送ったメール確認して。追加の招待客リストだから」
『えっ?』
まぁ驚くよな、全く知らせてなかったし。
「四人いる。彼女たちは本当に招待だから」
『代金は頂かないってこと?』
「そっ。」
そう言うと、茉莉花はメールを確認してそこに表示された名前を小声で読み上げた。
銀座のママ、最近話題の二世セレブモデル、某企業の社長令嬢、女医……
一癖も二癖もある金持ちばかり。
『えっと…』
「営業してんの」
『ん?』
「彼女たちを堕とすんだよ。引っ張れる額が違うからな」
『四人て…誰が担当してるんです?』
「隆二が二人担当してる。ママとモデル。"今頃営業真っ最中"なんじゃん?残りは俺と宗正な」
『……そうなんですね。分かりました』
"今頃営業真っ最中"って言ったの気がつかなかったか。
言葉の通りなんだけど。
さてと、それじゃあちょっと仕掛けるか。
「飯行かね?」
『今からですか?』
「付き合ってよ。俺腹減ってるし」
『……でも、先約が』
ブー……
テーブルの上で茉莉花のスマホが震える。
内容を確認した途端、顔に落胆の色。
「どした?」
『いえ、行きましょうか、ご飯』
わざわざ理由なんて聞いてやらないよ。不機嫌な態度の理由。
先約は隆二。
でも、たった今、断りの連絡が入った。
そんなとこかな。
「じゃ、行こうか」
勝手に上がる口角を必死で下げながら、席を立った。
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