甘やかす男たち

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シャンパンでいいよな、という久砂さんにオーダーを任せている間にLINEをチェックしたけど、"想像通り"既読はつかない。 首を少し傾けて、息をするフリをしてまたため息をつく。 なにやってんの、私は。 目の前には次々と美味しそうなお肉が運ばれてきて、久砂さんは豪快に食べ進め、すでに食事を終えていた私は少しだけつまみながらシャンパンを頂いた。 いい感じに酔いも回り、隆二さんのことにも頭の中で悪態をつける位になってきたところ。久砂さんは箸を置き、背筋を伸ばしてあらたまった。 『どうしました?』 「どうするのか、そろそろ考えてほしい」 『……なにを?』 分かってる。 「レイカがいなくなるまであんまり時間はない」 ずっと考えてたよ。"恋人以上恋人未満"の関係って何だろうって。考えれば考えるほど答えは出なくて。 シャンパングラスに手を添えたままテーブルに置き、ライトに照らされて煌めく泡を見つめる。 『もし、……お断りしたらどうなります?』 「…別の人を探す」 『続けたら…?』 「大切にするよ」 グラスを見つめる私の視界に久砂さんの手が入ってきて、その手はそのままグラスを持つ私の手を包む。 視線を上げた先には、相変わらず彫刻の様に端正な久砂さんの顔。 「俺は、どっちを選んでもお前を離すつもりはない」 その言葉の意味……自惚れだとしても気づかないフリをさせて。 『……ありがとう、ございます。久砂さんは優しいですね』 「……まったく、……手強いオンナだよ」 ほら飲みな、とグラスごと手を押され、流されるままシャンパンを飲み干した。 『パーティーの最終日にお返事します』 私のグラスにシャンパンを注ぐ久砂さんは、初めて会った時のように綺麗な顔で微笑んでいた。
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