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興奮したサナを帰し、私も多少の残業をこなして帰路に着く。
THE CLUBは、会員制の超高級ホストクラブだとサナが教えてくれた。料金設定が"アホみたいに高い"といい、本当に限られた人しか入店を許されないとか。でも、その金額に見合う極上の男たちが待っている。
ホストクラブなんて、興味ないもん。
ハマるわけないし、そもそも一人暮らしのOLには貢ぐ余裕なんてない。ただちょっと興味はあるかも。しかもそんなに狭き門ならなおさら。”おしゃべりのネタ”にもなりそうだし。
シャワーを浴び、愉快な想像をしながら鏡に映る身体のラインを確認した。シャワー前に毎晩行っている腹筋、背筋の効果が最近出てきた気がする。引き締まった身体は一日にして成らず。
よし、今夜も調子いい。
髪をタオルドライしながらキッチンへ行き、冷蔵庫から缶ビールを取り出した。お風呂上がりはこれに尽きる。
『はぁ~…』
ローテーブルの上に開けたばかりの缶ビールを置き、脱力したようにソファに身を投げた。缶の横にはスマホと封筒と紙切れ。私は腕を伸ばして封筒を摘み上げ、表裏をもう一度確認した。
あのイケメンがなぜこれを私にくれたのか。
それ以上に不思議なのは、なぜ私の名前があらかじめ印刷されているのかという事。怖さと興味が交差する中で、イケメンからもらった番号を自分の電話帳に登録した。
その行動に深い意味はない。
動かした指のまま通話履歴を出し、私からの連絡を待つ愛しい人の名前をタップした。
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