直感

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直感

……いったぁ~ う~……気持ちわる…。 完全に二日酔いの目覚め。 カーテンも開けず薄暗い部屋の中を這いずり、重い頭を持ち上げて冷蔵庫に手を伸ばす。 お水…お水…。 冷蔵室にはミネラルウォーターが何本も詰め込まれていた。 あれ、こんなに買ってあった?帰りにコンビニ寄った…? 真新しいペットボトルが5本ある事実に"きっと寄ったんだ"と勝手に決めつけて、喉を潤してからもう一度布団に潜り込んだ。 うつらうつらとする意識の中で、聞こえてくる短い着信音。 この音はたしかCLUBのスマホのはず。何か連絡事項かと思い、半分寝ぼけた状態でベットから手を伸ばし、バッグの中を漁った。 画面には案の定、CLUBからの連絡事項が表示された。 《ご連絡》 《おはようございます。昨夜ご自宅までお送りした運転手でございます。お車に茉莉花さんのスマートフォンがございました。》 《お渡ししたいので、お手数ですがご自宅近くのカフェセブンに午後6時にお越しください。お待ちしております》 私は飛び起きた。 ………今、何時っ?! 、 "ジャングル"がテーマのカフェセブンの店内は、おかしな置物だったり巨大な観葉植物、ゲーム機なんかが置かれた秘密基地みたいな雰囲気。 絶妙なレイアウトでテーブルごとに仕切られているから周りの目を気にしなくていいのも特徴。 運転手さんから連絡が入り、スマホを確認したのが午後4時半。寝て過ごしてしまった休日を悔やみながら急いで準備して、指示された《一番奥のカウンターにいらして下さい》の通りに深いため息をつきながら腰を下ろした。 ……我ながら、情け無い。 車内に忘れ物とか大人としてどうなの…。 途中から記憶がないし、きっと、だいぶ迷惑かけちゃったのよね…。 ちゃんと謝らなくちゃ。 腕時計を見るとそろそろ時間。 頬杖ついてボーッと前方に立てかけてあるメニューを眺めていたら、 コトン… 後ろから手が伸びて来て、私のスマホがカウンターに置かれた。 『ありがとうご…ざ…………え……』 振り返った先にいるその人は、驚きで固まっている私の顔を見て満足そうに笑い、隙をついたようにキスをしてきた。 唇の柔らかさを堪能するように挟まれた私の下唇は、離れる時に少しだけ引っ張られる。 「………避けないの?」 色っぽく耳元で囁かれ、身体に力が入った。 「ふっ、……じゃあもう一回」 顎に手を添えられ、少しだけ上を向かされれば、今の状況を楽しむようにリズミカルなキスが繰り返される。 「……世話のかかる女」 数センチ離れた唇から出たそんな言葉。 "だから放っておけない" 真っ直ぐに私を見つめる瞳がそう伝えてくる。 『…隆二……さ…ん…。なんで…』
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