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甘やかす男たち
@ 宗正
「「「おはようございますっ」」」
「…ちょ、でかい声出さないで…」
う~…気持ちわる……。
昨夜のお姉様方に飲まされすぎて完全に二日酔いだ…。だって、日本酒タワー、ウイスキータワー、シャンパンタワーとやってくれちゃったから飲まないわけにいかないじゃん。
今日は控えよ……てか、同伴面倒くさ…
あ、茉莉花さん発見!
カウンターに座り来店客チェックや届いたプレゼントの仕分けに余念のない茉莉花さんを後ろから抱きしめ「おはよぉ〜」と甘えてみる。
ここ数日、彼女は水を得た魚のようにご機嫌。
「てかさ、今日も一段と綺麗!かわいい!はい、ちゅ~~」
隙を見て、肩越しに唇と頬にキス。
『もぉ~宗正くんやめてって』
"鬼の居ぬ間に"いちゃいちゃしてやるんだ。二日酔い上等っ!!
「……おい、」
誰だよ、うっせーなぁ
「……おい、」
だから誰だっつーの!!
勢いよく後ろを振り返ると、鬼がいた。
「隆二さんっ?!あれ?マカオは?あれ?いつ帰国したの?!え、何で?レイカさんは?てか知らせてよっ!!」
「……質問多すぎ。うるせぇ」
「なんだよ~、せっかく茉莉花さんと仲良くしようと思ってたのに~!」
茉莉花さんの後ろから抱きついたままでも隆二さんは意味深な笑みを浮かべているだけ。
余裕だなぁ
「……離れろ」
…でもないか。
「怖い怖いっ、はいはい離れますよっ」
仕事をする茉莉花さんの両隣に俺と隆二さん。俺はカウンターの上に突っ伏して綺麗な顔を眺める。だけど、隆二さんの手はしっかり……ちゃっかり彼女の腰。
「隆二さんて何気に……」
「あっ?」
「なんでもない」
独占欲強いよね?
どうすんの?レイカさんがいなくなるまで約1カ月。クルーズパーティーが終わったら答えを出さないといけないよ?
茉莉花さんをIl Soleにするのか。
……しないのか。
俺の知ってる隆二さんはこんな顔しなかった。
茉莉花さんの腰に添えていた手を上へとずらし、そのままうなじを掴むように撫でる。
斜め後ろから見つめる顔は、切なげに憂いを帯びていた。
なんとかしてあげたいけど、仕方ないよ。
THE CLUBの掟なんだから。
…………って、やべ、やっぱ気持ちわる…。
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