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我儘な男たち
“きゃーーー!!見たっ?!なんなのあの女!”
“隆二が!!隆二が舐めたわよっ!!”
“もしかしてあの女、相当積んでるのかも!やだっ、負けたくないっ”
たかが飴。
照れる歳でもないし、気にしないふりくらい出来るけど、キスされたみたいな感覚に陥り思わず唇を両手で覆った。
「おぉ~う。隆二が珍しい」
「うっわぁ…やっぱりこの店のホストって違うね~!あんな男に抱かれた~い」
サナとケイさんが盛り上がっているけれど、そんなことよりも周りのお姉様方の視線が突き刺さるように痛い。
男に狂った女は何をするか分からない。このままここにいたら本当に帰りが危なそうだし、明日だって仕事だし…。
『サナ、そろそろ帰らない?ケイさん、明日も仕事だから帰るね。今日はありがとう。初めてのホスト体験だったけど楽しかった!招待してくれた宗正君にもお礼伝えて下さい』
招待理由は結局判らなかったけど、世の中には知らない世界がまだまだあるなって。このTHE CLUBはこの先私の人生に交わることはないと思うから、最後の記念にと、もう一度ぐるっと店内を見渡した。
私は明日も仕事だけど、世間は週末。夜は始まったばかりと、二階へと続く階段には大勢がまだまだ列を成していた。
そういえばさっきのレイカさんって、リュウジっていう人のお客さんなのかな?タイミング的に一緒に来たみたいだし、お店にも慣れているようだった。
そのレイカさんが入っていった扉に、今は美女たちがひっきりなしに出入りをしていて、笑っている人、泣いている人、赤面している人、勝ち誇ったような顔をしている人、怒っている人……様々な顔が見えた。
異様な光景だと思った。
あの部屋で何が行われてるのか。
たしか、リュウジって男もあの部屋に入っていった気がする。
サナが飲み終わるのを待ち、私たちは席を立った。狙ったようなタイミングで声が掛かる。
「葉山 茉莉花 様ですね」
帰り道を塞ぐように目の前に現れたのは、細くて白い美しい手を前で揃え、冷たい笑みを浮かべながら圧倒的な存在感で私を威圧するレイカさんだった。
「お帰りのところ申し訳ありませんが、一緒にいらして下さい」
『えっ……?あの…』
「久砂が呼んでいます」
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