魅惑の船旅 DAY-1

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魅惑の船旅 DAY-1

『わたし、隆二さんの事が好き』 「……今更……知ってるけど」 『うん、だから伝えようと思って』 「……それが答え?」 『うん、もう決めたの』 テーブルの真向かいに座るサナがビールジョッキを高く掲げ、 「んじゃ、乾杯!」 一日の疲れを吹き飛ばすように飲み出した。 「そっかぁ~、決めたのね!どっちに転んでも結果報告忘れないでよ~!あ、あと宗正はこれからも遊べるようにしておいてね〜」 『ちょっと~!宗正くんもいいけど、私の心配もしてよー!』 「心配したって仕方ないでしょ?男と女なんだから、なるようになるわ」 たまにサナのノーテンキさが羨ましくもなる。でも、ほんとその通り。 なるように、なる。 「でぇ?あんなに迷ってたのに決め手はなんだったの~?」 『んふふ…内緒』 そう、私は決めたの。 隆二さんが好き。 ただ、それだけ。 だから、そばにいたい。そのためにしっかりと言葉にして伝えるの。 "好き"って。 こんな関係は終わらせたいって…。 久砂さんにもちゃんとお断りしなくちゃいけない。 この先どんな風に関わっていくのか分からないけど、気持ちはしっかりケジメをつけないといけないから。 事あるごとに"好き"と言ってくれて嬉しかった。迷ってしまったのは事実だけど、やっぱりどんな時も一番に思い出すのは隆二さんだった。 彼はあの日、驚くほど簡単に私の心を縛りつけたんだから。 、 あと数時間後にはお客様の乗船が始まる。 船内にはTHE CLUBのホストたちの他、豊富なアクティビティや魅惑のエンターテイメント、全てにおいてワンランク上のサービスを提供するべく大勢のスタッフたちがスタンバイしている。 私はというと、どれだけ外ヅラがいいんだ、と突っ込みたくなるほどダラけた三人に指示を飛ばす。 三人とレイカさん、それに"特別に"私にも用意してくれた部屋は、限られた人しか入れない専用フロアを持つエグゼクティブスイート。 船首の上層階に位置し、ラグジュアリーな空間と抜群の眺望でこの船旅を特別なものにしてくれる。 きっと、私にとっても特別な三日間になる。
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