1人が本棚に入れています
本棚に追加
そんでもうひゅーんって落ちてって。自分でもどんくらい落ちてんのか分かんねえし、ほら、『不思議のアリス』くらい落ちてたな。
ずっと落ちてたら、もう落ちきったみたいで、感覚なくなって。あ、でも痛くなかったな。激突した感じもないし。そのあと急に目の前が真っ暗になって。
で、今に至るわけだ!
視界が開けたときにはなんかオオカミになって、全然知らねえ森にいて。ホントひでえよな。
まあ、もう何日かたったんだが。
オレをこんな目にあわした奴に会ったら、すぐにぶん殴って一泡吹かせてやる。
覚悟しとけよ!!
…ってタンカ切っても、今はムダなんだよ。
目の前に誰もいないんだしな。
多分…今昼すぎかな。
太陽がオレの頭の真上から、少し前の方に進んでいた。
ちょっと腹が減ってきた。
そうだ、朝の食べ残しのウサギでも食おう。
普通のオオカミだったら群れで狩るんだろうけど、オレをそんなのに入れてくれるわけがない。
まず、近づいただけで殺されそうだしな。
よーし、メシだメシだ!
少しでも気分上げとかないとな!体が持たないぜ。
前足でウサギを転がし、目の前に持ってくる。
うげっ、体がもげてる…。
そのままっ。
ガブッ!
ガブッ、グシャッ、ガブッ、グジャッ。
ゴクン。
う……うん。
正直、美味くない。
でも、腹の足しにはなった。
最初のコメントを投稿しよう!