森の中の男の子

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 そんでもうひゅーんって落ちてって。自分でもどんくらい落ちてんのか分かんねえし、ほら、『不思議のアリス』くらい落ちてたな。  ずっと落ちてたら、もう落ちきったみたいで、感覚なくなって。あ、でも痛くなかったな。激突した感じもないし。そのあと急に目の前が真っ暗になって。  で、今に至るわけだ!  視界が開けたときにはなんかオオカミになって、全然知らねえ森にいて。ホントひでえよな。  まあ、もう何日かたったんだが。  オレをこんな目にあわした奴に会ったら、すぐにぶん殴って一泡吹かせてやる。  覚悟しとけよ!!  …ってタンカ切っても、今はムダなんだよ。  目の前に誰もいないんだしな。  多分…今昼すぎかな。  太陽がオレの頭の真上から、少し前の方に進んでいた。  ちょっと腹が減ってきた。  そうだ、朝の食べ残しのウサギでも食おう。  普通のオオカミだったら群れで狩るんだろうけど、オレをそんなのに入れてくれるわけがない。  まず、近づいただけで殺されそうだしな。  よーし、メシだメシだ!  少しでも気分上げとかないとな!体が持たないぜ。  前足でウサギを転がし、目の前に持ってくる。  うげっ、体がもげてる…。  そのままっ。  ガブッ!  ガブッ、グシャッ、ガブッ、グジャッ。  ゴクン。  う……うん。  正直、美味くない。  でも、腹の足しにはなった。     
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