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もうだいぶ暗くなったし、逃げたし、あいつらが来る心配もないだろう。
少し余裕ができたから、これからの分の食料を探しに行こう。
ひー、真っ暗。
よく親が寝静まって後、外に出かけたりはしてたけど、それとは比べものにならねえよ。
灯りもないから、一面黒で塗りつぶしたような感じだな。
こんなんでウサギなんて見つけられるか?灯りもないし。
そう、灯りがないか………ら………?
ある?
オレの目が正しければ、奥の、うんと上の方に灯りがあった。
木々が視界を邪魔してくるけど、それでも見えるか細い灯り。
それを認識したとたん、オレは反射的に駆け出してたんだ。
人間がいるかもしれないのにな。
近づくにつれ、だんだん灯りが増えていく。
いつ行ったのが最後だっけ、夏のお祭りみたいだ。
そいつは、すぐ見えた。影だけしか見えないけど、やっぱり、人間だったよ。でも、不思議と怖くない。あの、さっきの体の芯から震え上がってビクビクするような感じはしない。なぜだ?
まず、やつは一人しかいないからだろう。どんな動物も、集団じゃないと分かりゃ、イチコロだぜ。
あ、ライオンは別な。
でも、それだけじゃないような気がすんだよな。よくよく見たら…オレより一回りほど小さい体だ。ちょっと猫背になってるな。
そうか、あいつ、子供か!
よし、もうこれで怖くない。そ、オレ、大丈夫。オレ、もうここら辺うろうろしても、ビクビクしなくていい!
オレ、やったぜ!
……………………………
………って待て!
何で森のど真ん中に子供がいるの!?え、なぜ?絶対あり得ないよね!
おし、確かめるか。
怖くもないしな。
近づくと、その横顔が現れてきた。
わずかに、悲しそうに見えたのは気のせいだろうか。
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